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2017年4月/今村・小林

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恩師との出会い
今村紀芳

(日本スケッチ画会理事)

神奈川県在住シニア男性の集まり「じゃおクラブ」(じゃおはおやじの逆さ読み)があります。創立から昨年25周年を迎えました(会員165名2017年4月現在)。

毎月第一日曜日じゃおサロンがあり講師を招いて講演があります、終了後当日の講師を交えて懇親会があります。16年前になりますが、2001年11月じゃおサロンに五十嵐吉彦先生をお招きして講演をいただきました。
テーマは『人生90年時代「趣味を持つことの大切さ」その一つに水彩スケッチを楽しむ』とのお話しと先生が描いた作品など拝見しました。聴講しました会員約30名は大変感銘を受けたと同時にカルチャーショック受けました。
じゃおクラブには・俳句・コーラス・歴史散策・料理教室・農園・ボーリングなどなど「この指とまれ」方式で15~6のグルーブが活動しています。

先生の講演をお聞きして絵の会を立ち上げて五十嵐先生の指導をお願いに私と当時のリーダー(現在水陽会所属の森氏)と二人で伺いました。先生は既にNHK文化センター講師、又ご自身の主宰教室などでスケジュールが過密で時間が取れないとのお話でした。しかし何とか実現したいとの思いで「日中がだめなら夜でもお願いしたい」とご無理を申し上げボランテア精神で2002年5月から毎月18:00から静物や写真からなどを描く指導を20名近くの会員でスタートしました。

「田園都市淡水会」のグループ名で2005年から7回のグループ展も開催しました。2012年7月発展的に解散して私の主宰しています「水陽・明水会」月曜コースとして引き継ぎ五十嵐先生に顧問をお願いしてスタート現在に至ります。
月曜コースは男性のみで現在15名の会員で大半は淡水会からのメンバーです。平均年齢77歳で全員元気で毎月2回水彩スケッチを楽しんでいます。今年も3月第5回「水陽・明水会展」をアートフォーラムあざみ野で開催、期間中の来場者は1000名を超えました。
この活動を通じて、水彩スケッチ愛好の輪が着実に広がってきていることを実感しております。

 

客観的な視点を養う―デッサンの重要性―
小林貞雄
(日本スケッチ画会理事)

退職後、残された長い時間付き合いのできる何か良い趣味をと考え、子供の頃から好きだった水彩画ならば『昔取った杵柄』で気軽に、まあまあ褒めてもらえそうな程度の作品ができると思い、女房の勧めもあり、約11年前、公民館活動の一つとして行われていた水彩スケッチ教室に参加しました。
絵で生計を立てるプロの作家にでもなろうとすれば、相当厳しい訓練が求められるのでしょうが、私の水彩画制作には、何でも吸収してやろうする強い好奇心、やる気・根気と他人の講評・批評を出来るだけ素直に受け入れることのできる心があれば十分で、一人でやるには格好の趣味だと考えていました。

ルンルン気分で参加したものの、まったく思うように描けませんでした。その後も幾つかの教室に所属し素晴らしい先生方に教わりましたが、今でも悪戦苦闘し、幾度も挫折を味わって、いまだに自分のスタイルが定まりません。

約6年前から水彩スケッチ教室を運営しています。はじめは5名でしたが、今は人数も増え毎回楽しい会となっています。「他人(ひと)を教えることで自分が教わることがたくさんある。」と久納先生(日本スケッチ画会理事長)に背中を押されて始めました。まさにその通りだと実感することがたくさんあります。当然指導もしますし、講評もしなければなりませんが、そのためにもまずは自身の力をつけなければなりません。それはがむしゃらに描けば良いというものでもなく、『上手な絵を描く』ことでもなく、私の絵を見ていただく人に制作意図が上手く伝えられることが必要なのではないかと考えています。そのために有効な方法はないものかと模索を始めています。

最近ある機会に興味のある記事を見つけました。それは某油彩作家さんがデッサンの効用を述べた記事です。
『美術やアートは、本人の個性だとか、主観の世界観が重要視されると思われがちですが、それは誤解です。本当にレベルの高い作品は、非常に客観的な視点で物事をとらえてそれを表現している作品だし、そうでないと世の中的に評価されることは難しいでしょう。そしてデッサンは、自分の主観というフィルターを取り去っていく訓練の一つです。デッサンを繰り返し行うことで、主観に凝り固まっていた自分の感性をほぐして、客観的な視点を持つことができるようになるのです。(中略)「何かを作って表現していく」という美術やアートその他の創作活動をしていく人間にとって、客観的視点を養うために、デッサンは非常に効率の良い訓練法であると思います』

私は、今まで強い主観でやや自己陶酔的に制作してきたような感じがしています。趣味なのだからわかる人だけわかってくれればよい、と考えていました。でもこの記事を読み、自分自身や教えてほしいとお願いされる方々のためにも、自分の能力向上策の一つとして、取り敢えずデッサンを真面目に取り組んでみようと考え、早速実行に移しました。


灰色の布上に置かれた黄土色の耐火煉瓦、青いビー玉と白い紙の造形を描いた講習会での鉛筆デッサン習作。


2017/04/19