スケッチ随想
2013年7月/五十嵐・久納
スケッチ随想
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オランダ・スケッチ旅行から帰国して
五十嵐吉彦
(日本スケッチ画会 会長)
3日前、オランダ・ドイツスケッチ旅行から帰国した。
ここに掲載した水彩スケッチ作品(F4サイズ)は、先週現地にて描いたオランダ・アムステルダム数点の内の3点である。小生は現場で描く風景スケッチが主である為、国内外にスケッチに多く出かけているが、オランダは今回で6回目の訪問となり特に思い出が多い。
オランダは今から12年前の2000年でオランダ・ベルギーにスケッチ旅行した時が最初で、運河や小さな港町と船が大変気に入った。
今回掲載したアムステルダムのスケッチ作品の描いた時間帯及び制作時間は
<早朝のアムステルダム運河>(上段左作品)
早朝の運河で、太陽が昇り始め、光が美しく輝き始めた6時頃から約1時間。
<昼下がりのアムステルダム運河>(上段中作品)
昼下がりの運河で緑が美しく、水辺に感動しながら14.00頃から約40分。
<アムステルダム中央駅>(上段右作品)
東京駅と姉妹駅の中央駅で、夜なのに結構明るかった21.00頃から約30分。
少し肌寒く、絵具の乾きが悪かったが、いずれも現場で、時間を忘れ、スピーディに描いた水彩スケッチ作品である。
小生は学生時代は大きな水彩作品も描いていたが、これからの時代は小さくても、スピーディに描き、臨場感あるペン彩や水彩スケッチ画を楽しむ事もよいと思っている。
小生の水彩スケッチ講師生活は、上記の12年前オランダスケッチに行った2000年から始まったが、これからは中高年の時代であり、環境も重要視される時代となり、若い方から中高年の方々まで、生きがいある生活が必要と痛感し、その生きがいを生む知的趣味の1つが、奥が深い水彩スケッチであるとの信念をもって活動をしてきた。それが手ごろなF4サイズスケッチブックによる水彩スケッチ画であり、モットーは“Simple&Speedy、and Good Quality”であり、いまだに続けている。
今回、オランダ・スケッチ旅行から帰り、この12年間を振り返ってみると、新しい水彩スケッチ画の分野は大きく広がり、スケッチ人口も増え、大変喜ばしいことである。生涯楽しめるF4サイズ主体の水彩スケッチ分野は新しいジャンルであり、皆様にスケッチの手軽さと、奥の深さ、また屋外でのスケッチの楽しさを味わって頂き、水彩スケッチのすそ野をもっと広げて頂きたいと思っている。
『スケッチぶらり歩き』・・・・・江ノ電沿線を描く
久納隆司
(日本スケッチ画会理事長)
『世界ふれあい街歩き』という番組がNHKBSで時々放映されているが、先日は鎌倉の街が取り上げられていた。私はこの地に居を構えて人生の半分近くを過ごしているが、日常気がつかない別の視点で編集されていて興味深かった。鎌倉といえばとかく寺院などの歴史遺産に目が向くのが一般的ではあるが、人々の暮らしを追って路地裏などを散策する番組であった。
私も“ぶらり歩き”が好きである。スケッチブックを携えて思いつくままにスケッチして歩く。この番組でも一部紹介されていたが、私は江ノ電沿線が好きである。鎌倉から江ノ島を経て藤沢に至る10km足らずのローカル鉄道であるが、やたらとカーブが多く100年余りの歴史を感じさせる乗り物である。沿線に建ち並ぶ住居の軒先や庭をかすめるように走ったかと思うと、突然視界が開けて湘南の海を望み、曲がりくねってのんびり走る。そんな沿線を気の向くままに乗り降りしながらスケッチして歩く醍醐味は格別である。
私も生活感のある漁船を描くのが好きで、ここを何度訪れたことか数えきれないほどである。風景画は同じ場所であっても季節や天候、時間によって光景は大きく違ってくる。その時々の光や空の様子、海の色など千差万別であり、色彩のハーモニーを奏でてくれている。
そうした現場の雰囲気を描くのがスケッチ画本来のあるべき姿なのではないかと思いつつ、暇を見つけてはスケッチブック片手に出かけている。
2013/07/11